はじめに(全国版アーカイブ)

はじめに

試験公開中

 平成23年3月11日に発生した東日本大震災では多くの無形文化遺産が被災しましたが、その復興に際してあらためて脚光をあびたのが、写真や動画、報告書などの記録でした。無形文化遺産に関わる写真や動画、音声、文書などの記録は、地域の方々が震災前の暮らしをあざやかに振りかえり、自分たちのアイデンティティを再確認するのに大きな役割を果たしました。
 しかしそれだけではなく、写真がたった1枚残されていたことで流されてしまった獅子頭を復元できたり、映像記録があったことにより技術を再現できたりなど、失われた道具装束類や技術を修復・再興する際にも、記録が大変役に立ちました。

 無形文化遺産に関わる記録は、行政や研究機関、また民間団体や個人によってこれまで膨大に生み出されています。こうした記録を末永く保存し、後世へ伝えていくと同時に、必要としている人が必要としている時に閲覧・利用できるようにするため、本アーカイブスを立ち上げました。
 
 現在は試験公開中ですが、今後は各都道府県の文化財担当部局のご協力を賜り、無形文化遺産の基礎情報を集約・公開すると同時に、関連する記録類についてもできる限り蓄積・公開していく予定です。
 東日本大震災からの復興に際して記録が役立ったように、これらの記録群はまた、来るべき災害に対して防災や復興支援の役割も果たすのではないかと考えています。本アーカイブスが、無形文化遺産の伝承と理解の深化に資することができれば幸いです。
 
平成29年(2017)8月
東京文化財研究所 無形文化遺産部
 
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 本アーカイブスは国立文化財機構が取り組む「文化財防災ネットワーク推進事業」の一環として開設したもので、元となるシステムは、国立研究開発法人防災科学技術研究所との共同研究に基づいて構築されたものです。
 収蔵コンテンツは動画、写真、音声、文書(PDF)で、現在は東京文化財研究所に寄贈・提供された記録や、同研究所の過去の活動の中で収集した記録を中心に収蔵していますが、無形文化遺産に関わる総合アーカイブスとして、少しずつ内容を充実させていきたいと考えています。記録や所在情報の提供にご協力をいただければ幸いです。